施設の床定期清掃は、朝8時半に道具を下ろしてから15時過ぎに撤収するまで、3人1チームで「洗う→水を集めて吸う→ワックスを塗る」を部屋ごとに繰り返していく仕事です。この記事では、清掃業10年目の私が、1日の流れと工程、作業中に気をつけていることをまとめます。床清掃を頼む施設側の方に、知っておいてもらえると助かることも書きました。
先に、私が現場で一番怖いと感じることを書いておきます。作業中の床を人に通られることです。「作業中」の看板を立てていても通る人はいて、洗剤を含んだ床やワックスを塗ったばかりの床は滑りやすくなっています。
1日の流れ
私がよく入るのは、窓口のある公共施設や事務所です。1現場の広さは場所によりますが、コンビニ3〜5店舗分くらいのイメージです。これを部屋や区画ごとに分けて、洗浄からワックスまでの流れを何度も繰り返しながら進めます。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 8:30 | 道具を下ろし、施設の方と作業箇所を確認 |
| 8:45頃 | 作業開始(まず最初の部屋の椅子などを上げる) |
| 10:00前後 | 休憩(15〜30分ほど) |
| 休憩後〜12:00 | 作業 |
| 12:00〜13:00 | 昼休憩 |
| 13:00〜14:30頃 | 作業(ワックスまで終了) |
| 14:30頃〜 | 椅子などを元に戻し、使った道具を水洗いして車に積み込む。この間に施設の方に仕上がりを確認してもらう |
| 15:00〜15:30頃 | 確認でOKが出たら撤収 |
人数は現場の規模によって2〜5人ほどですが、床の場合は3人1チームで行うことが多いです。作業の最初と最後に施設の方と確認をするので、「どこまでやるか」「仕上がりは問題ないか」の認識のズレが起きにくくなっています。確認で手直しが出たときは、必要な道具だけを持って戻り、その箇所を作業し直します。
工程と3人の役割分担
3人の役割は、次のように分かれます。
- ポリッシャーをかける人:ポリッシャー(床を洗う円盤型の機械)で床を洗う
- 水を集めて吸う人:カッパギ(床の水を寄せるゴム製の道具)で水を集め、ウェットバキューム(水を吸える掃除機)で吸い取る。隅こすりとモップがけもこの人が担当
- ワックスを塗る人:フラッシュモップ(柄の先に平たいモップが付いたタイプ)で塗る
1つの部屋・区画ごとの工程は、次の順番です。
- ポリッシャーで洗浄:通常はポリッシャーのタンクに洗剤を入れ、洗剤を出しながら洗います。汚れが重い場合は、先に床へ洗剤をまいてからポリッシャーを回します
- 隅こすり:ポリッシャーのブラシは部屋の隅に当たりにくいので、隅こすりという道具で隅を洗います
- カッパギで水を集める:四隅の水を部屋の中央に集めます
- ウェットバキュームで吸う:集めた水を吸い取ります
- モップがけ:残った水分や汚れを拭き取ります
- ワックスを塗る:塗るのはだいたい1回です
- 乾燥:床が湿りすぎていない、湿度が高すぎない、風通しが良い、といった条件なら、5〜10分ほどでだいたい乾きます
隅こすりは、ポリッシャーの前にやることもあります。順番はどちらでも大丈夫です。
ワックスを塗るときは、かすれが出ないように、力を下へしっかり押し付けながら塗ります。また、ある程度塗り進めたら、濡れていない箇所(塗り残し)がないかを確認しながら進めます。
黒ずみやすい場所と、「落ちない汚れ」の正体
黒ずみが出やすいのは、人の通る動線や、職員さんが仕事をしている場所(窓口の中や机の周りなど)です。毎日踏まれ続けることで黒ずんでいきます。
床にこびりついた汚れは、ケレン(汚れを削り落とすヘラ状の道具)をかければ、だいたい落ちます。ケレンでも落ちないケースは、実はあまりありません。
「落ちない汚れ」だと思われているものは、床の傷を汚れと見間違えている場合が多いです。傷は洗っても消えないので、業者に頼むときも「黒く見える部分がすべて消えるわけではない」と知っておくと、仕上がりのイメージのズレが減ると思います。
年1回の剥離をしないとどうなるか
剥離(古いワックスを剥がす作業)は、年1回程度のことが多いです。
剥離をしないままワックスを重ね続けると、汚れがワックスの層の下へどんどん閉じ込められていきます。その結果、黒ずみが強くなり、床の色そのものが変わっていきます。定期清掃で表面をきれいにしても、下の層に閉じ込められた汚れは残ります。
自宅の床で同じことが起きるケースは、床のワックスがけをDIYでやる前に、清掃のプロが見ている3つの境目に書きました。
施設側へのお願い
作業中の床を通るとき
冒頭に書いたとおり、作業中の床を通られるのが一番怖いです。特に気をつかうのが、トイレが1か所しかない施設です。作業中でもトイレに行く人は、濡れた床を通るしかありません。そのため、人が通りそうな場所では、通られる前にこちらから声をかけるようにしています。
声をかけると、たいていの方は慎重にゆっくり歩いてくれます。ただ、ときどき、ワックスをなるべく踏まないようにと、足先だけで飛び越えようとする方がいます。気をつかってくださっているのはわかるのですが、中でもこれが一番ひやっとします。
ワックスの上を通らないといけないときは、飛び越えずに、足の裏をしっかりつけて、滑らないようにゆっくり歩いてもらえると安心です。
作業前に椅子やゴミ箱を上げておく
私たちは、最初に作業する部屋の椅子などだけを先に上げ、そのあとの部屋は作業を進めながら随時上げています。作業前に施設側で椅子やゴミ箱を上げておいてもらえると、とても助かります。現場の規模にもよりますが、それだけで1現場あたり5〜10分、場合によってはそれ以上、作業時間が変わります。
まとめ
床の定期清掃を頼む側として、知っておくと役立つポイントは次のとおりです。
- 作業の最初と最後に施設側の確認があるので、気になる箇所はそのときに伝えるとズレが起きにくい
- 洗っても消えない黒い部分は、汚れではなく傷のことが多い
- 年1回程度の剥離をしないと、汚れがワックスの下に閉じ込められて黒ずみが強くなる
- 椅子やゴミ箱を上げておく、作業中の床は飛び越えずにゆっくり歩く。この2つで、作業時間も安全も変わる
家庭向けのハウスクリーニングを頼む場合の業者の選び方は、ハウスクリーニング業者の選び方にまとめています。施設と家庭では作業の規模は違いますが、業者を見るときのポイントは共通する部分があります。

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