以前、床にワックスをかけていて、ゴミを巻き込んだまま塗ってしまったことがあります。巻き込んだゴミは部屋の隅に集まって固まり、乾いてからそれを取り除いたら、ゴミと一緒にワックスまで剥がれてしまいました。ワックスがけは、ちょっとした手順の抜けが仕上がりにそのまま出ます。市販のワックスも手に入りやすくなり、自分でやってみようと考える方も増えていると思いますが、DIYで十分な範囲と、プロに任せた方がいい範囲は分かれます。今回は清掃のプロとして日々ワックスがけをしている立場から、その境目になりやすいポイントを3つ紹介します。
塗る前の汚れ落としを飛ばしていないか
冒頭の失敗のように、床にこびりついた汚れの上からそのままワックスを塗ってしまうと、その汚れをワックスごと閉じ込めてしまいます。塗った直後は分かりにくくても、乾いて艶が出た状態になると、汚れの部分だけ色や質感が違って見えたり、あとから剥がれる原因になったりします。現場では、ケレン(こびりついた汚れを削り落とす道具)や、サッシの溝など細かい部分には刃の薄いサッシ用スクレーパーを使って、こすって落とせる汚れをできる限り落としてからワックスをかけます。この下地作業を飛ばさないことが、仕上がりを大きく左右します。
乾燥させる環境を作れるかどうか
ワックスは塗った後、しっかり乾かす工程も仕上がりを左右します。季節や部屋の広さ、換気の状況によって変わりますが、目安として扇風機を5〜10分ほど当てれば乾くことが多いです。それ以上当てても乾かない場合は、湿気がかなり強いサインなので、無理に歩かせず、立入禁止の看板などを立てて一日ほど自然乾燥させた方が安全です。
知り合いの清掃業者から聞いた話ですが、注意書きをして部屋を離れたのに、担当者がそれを読まずに部屋へ入ってしまい、乾く前に歩いてしまったことがあったそうです。後日、その足跡がくっきり残ってしまい、その部分だけワックスを剥がして塗り直す「部分剥離」という手直しが必要になったとのことでした。DIYでやる場合も、乾燥中に人が入ってしまうリスクは意外と見落としがちなので、注意書きだけでなくテープを張るなど、目に見える形で対策しておいた方がいいと思います。
ワックスの種類を選べているか
ワックスと一口に言っても、光沢を強く出すタイプもあれば、逆に艶を抑えたタイプ(艶消し)もあります。イメージ通りの仕上がりにするには、この違いを理解した上で選ぶ必要があります。商品パッケージには艶あり・艶消しなどの表記があるので、そこを確認すれば見分けられます。光沢を出したいのに艶を抑えるタイプを選んでしまうと、思っていたような見た目にならず、塗り直しになることもあります。
まとめ:境目は数字で割り切れるものではない
DIYとプロの境目に、はっきりした線引きがあるわけではありません。ただ、今回挙げた「下地の汚れ落とし」「乾燥のさせやすさ」「ワックスの種類選び」の3点でつまずきやすいのは事実です。たった一つの工程の抜けが、仕上がりを台無しにすることもあります。この3つに自信が持てない、あるいは面積が広くて手間をかけられないという場合は、プロに任せた方が結果的に仕上がりも時間も無駄にならないと思います。業者選びで気をつけたいポイントは、こちらの記事にまとめています。

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